恋が枯れるまえに、約束を
*
「ねぇ、学食いこー」
「あ、待って今いくー」
時刻はお昼、お兄の作ったお弁当を
携え、私はいつもの裏庭へ。
“相変わらず”私は「静かな子」になって
しまった。
高校生活初日後、出来る限り自分から輪に入ろうとしたのは良いものの、会話についていけなかったり、無理して高笑いするのはすぐに疲れてしまった。
…理沙だったら、きっとみんなの輪に
簡単に入れるんだろうな。
ズズズっと、牛乳をストローで啜ると、
ため息が溢れた。
再び、孤立してしまった。
また、猫かぶりをしてしまっている。
うまく相手との距離を測った
クラスとの付き合い。
何度か理沙のクラスに行ってみたが、クラスの女の子と仲良くしている理沙を邪魔する事が出来なかった。
とぼとぼと落ち込みながら自分のクラスに戻って、授業を受けて、お昼にはここに来るのが日課になってしまった。
…あ、またお兄ブロッコリー入れてる、、
マヨネーズ無いと嫌なのに…。
そう文句を吐きながらも、私は
ブロッコリーを一口頬張った。
「…ん〜」
おいしくない。
裏庭は景色が良くて、風通りも良い、
昼食スポットには快適だが、人は誰も来ない。
きっとそれは────、
サササ…
草々が奇妙に揺れる。
「お前たちのせいだね」
「「ニャー」」
「ふふっ」
どこから入り込んだのか、この裏庭にはよく
野良猫が入り込む。
だから知らない内にお弁当のおかずを取られたり、菓子パンを咥えて逃げてしまうのだ。
「ニャー」
「私の話し相手は、野良のお前たち
だけたい。」
私は猫の頭を撫でながら、そう呟くと、
ただただ虚しくなった。