俺でよかった
余命
あなたの病気が悪化したと看護師さん達が話してた。
3年前は元気だったのに、ここ一週間具合が良くなくて病院に連れていった。
そしたら太郎は入院となった。
「ねぇ!病気悪化したの!?」
太郎に聞く。
「全然元気やでー!心配し過ぎや。だから大丈夫やで、愛美。」
絶対違う。だって太郎は元気って言ってるけど、実際はものすごく辛そう。
「嘘なんかつかないで!本当の事言ってよ!」
太郎は俯いた。
「愛美、よく聞いとけや。俺はもう長くない。余命宣告されたわ。」
「な、なんで?!元気だったじゃん!軽い方なんでしょ!?なんで、なんでそんなこと言うの!」
涙が溢れてきた。
そして太郎は笑って言った。
「ごめんな愛美。俺と別れてほしんやけど。俺はもう1ヶ月も無いらしんや。」
「や、やだよ!!!別れない!太郎どんなに別れようと言ったって別れないから!!!!!!!!!!!!」
なんでそんなこと言うの?
なんで別れるなんて言うの?
一緒にいようよ。
もう長くないことはわかった。
尚更一緒にいようよ!
「俺は愛美を苦しまさせたくないだけや。」
「別れた方が辛いし、大変になんてならな
い!!!!!」
太郎は笑顔で言った。
「ありがとな。俺めちゃくちゃ幸せやで。」
この日から、何度も言われた。
『別れよう 』と。
でもその言葉を受け入れなかった。
太郎は長くないと感じる毎日。
辛そうな太郎を見る毎日。
とても悲しくて辛かったけど、それも幸せに思えた。
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