ユーレイ喫茶で、謎解きを。
少し茶色くなって、さびついた金属製のドアノブは、その店の歴史を感じさせる。
ドアノブをしっかりと握りしめ、回す前に一度、緊張を紛らわすために、息を吐く。
『そこの店、出るらしいよ』
オカルトオタクは、こう言った。
涼しげな顔で、いとも簡単に。
その言葉は、やはりわたしの脳内をよぎる。
オカルト、怪談、肝試しばかりしている人とは違って、霊やお化けの類には、全く縁のない人間は、霊感も免疫もゼロだ。
霊感も免疫もゼロ。
なのになぜか、わたしはこの任務を受けてしまった。
受けてしまったからには、受けた責任がある。途中で投げ出すなんて、やってはいけないことだ。
やるしかない。そう、やるしかないのだ。
もう一度、ドアの前で一息つき、意を決し、ドアノブを時計回りに回す。