社内恋愛狂想曲
誰に気兼ねすることもなくひとりでのんびり街を歩いて、自分のためにお金を払って美味しいものを食べるのも、気ままに映画なんか観るのもいいな。

普段は休みの日に用もないのに外出なんてしないけど、今日は暇だし気晴らしに外に出てみよう。


出掛ける用意をするためにクローゼットを開けると、デザインが気に入って買ったのに一度も着ていないワンピースを見つけた。

買ってからずいぶん経つのになぜ着ていないのかと不思議に思いながら、鏡の前で体にあてがってみる。

ああ、そうか。

護に「その色好きじゃないし、そんな短いスカート似合わない」と言われ、クローゼットにしまいこんだままになって、着るタイミングを逃したんだ。

それにここしばらくは休日に友人とも会っていないし、護とは私の家で一緒に食事をするくらいでデートなんてしていないから、着ていく機会もなかった。

決して安くはなかったし、せっかく気に入って買ったんだから着てみることにしよう。

ワンピースに着替え一周回って姿見でチェックした。

普段仕事のときに着ている服より少しスカート丈が短めで色合いは明るめだけど、似合わなくはないと思う。

家を出てどこに行こうかと考えながら駅まで歩いた。


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