社内恋愛狂想曲
そのオフの日に会社の人間と会うのはあまり嬉しくはないかも知れないけれど、せっかくここで会えたことだし少し話を聞いてもらいたい。
改札機を通り抜けて足早に駅の外へ向かう瀧内くんを急いで追い掛け腕を掴んだ。
「ちょっと待って、瀧内くん。休みの日に申し訳ないんだけど、これから少し時間ある?ちょっと聞いてほしいことが……」
私が追い掛けてくるのを予想していたのか、振り返った瀧内くんは「やっぱりそう来るか」と言いたげな顔をしてうなずいた。
「……わかりました」
それから駅前のコーヒーショップに入り、金曜日の晩は護が出張で会えなかったことや、土曜日に千絵ちゃんのお見舞いに行った帰りに伊藤くんと会ったこと、そして護が日曜日の晩に出張から帰ると嘘をついていたことを話した。
「かなり酔ってたからだと思うけど、伊藤くんに一緒に暮らそうとか結婚しようとか言われた。最初から相手に期待しない方がうまくいくんじゃないかって。おまけに私と護が付き合ってることも護が浮気してるのも知ってたみたいで、護と別れる覚悟ができたら来いって言われたの」
「そうですか。確かに橋口先輩よりは伊藤先輩と結婚した方が幸せになれそうですね」
瀧内くんは休日もいつも通りの冷静さだ。
そんなにさらっと流さないで、お愛想程度でもいいからちょっとくらいは驚いてくれたっていいのに。
改札機を通り抜けて足早に駅の外へ向かう瀧内くんを急いで追い掛け腕を掴んだ。
「ちょっと待って、瀧内くん。休みの日に申し訳ないんだけど、これから少し時間ある?ちょっと聞いてほしいことが……」
私が追い掛けてくるのを予想していたのか、振り返った瀧内くんは「やっぱりそう来るか」と言いたげな顔をしてうなずいた。
「……わかりました」
それから駅前のコーヒーショップに入り、金曜日の晩は護が出張で会えなかったことや、土曜日に千絵ちゃんのお見舞いに行った帰りに伊藤くんと会ったこと、そして護が日曜日の晩に出張から帰ると嘘をついていたことを話した。
「かなり酔ってたからだと思うけど、伊藤くんに一緒に暮らそうとか結婚しようとか言われた。最初から相手に期待しない方がうまくいくんじゃないかって。おまけに私と護が付き合ってることも護が浮気してるのも知ってたみたいで、護と別れる覚悟ができたら来いって言われたの」
「そうですか。確かに橋口先輩よりは伊藤先輩と結婚した方が幸せになれそうですね」
瀧内くんは休日もいつも通りの冷静さだ。
そんなにさらっと流さないで、お愛想程度でもいいからちょっとくらいは驚いてくれたっていいのに。