社内恋愛狂想曲

「えーとね……まずはそういう話をこういう時間にこんな場所でしないでくれる？誰かに聞かれて噂になって誤解されたら困るでしょ？」

「別に困らないよ？どうせ結婚するんだし」

あわわ、なんてことを!!

会社の近くで会社の人がたくさんいるというのに、この男は本当に何を考えているんだ！

「だからっ……！そういう冗談を軽々しく言わないの！」

私がこんなに慌てているというのに、伊藤くんは人の気も知らず平然としている。

「冗談じゃないからなぁ。聞かれても減るもんじゃなし、ヘタに隠すとろくなことないじゃん？」

「いやいや……それは違うな、伊藤くん。なぜなら私は今、大いに困ってるよ？」

「なんで困るんだよ。あ、そうか。まだお互いの両親に挨拶もしてないのに、いきなり結婚は早すぎるかな。じゃあ結婚を前提に同棲から始めるか」

「だから違うって!!」

ダメだ、話がまったく通じない。

伊藤くんってこんな宇宙人みたいな性格だったっけ？

それにどうしてこんなに結婚にこだわるんだろう？

なんにせよ、伊藤くんとは一度この件に関してしっかり話し合った方が良さそうだ。