社内恋愛狂想曲
「橋口なぁ……みんなには志織のこと、ええ彼女やって言うてる。そろそろ結婚のことも真剣に考えなアカンなとか」

「ホント?」

「うん。志織のことはべた褒めやし、好きなんやとは思う。けどな……いくら遊びでも浮気はアカンやろう。いっぺん味しめたら、またなんぼでも繰り返すで。大事なことやし、よう考えや」

葉月の言うことはもっともだ。

私は護が好きだから他の人に抱かれたいと思ったことなんてないけれど、護は私を好きだと言いながら奥田さんと体の関係を持っている。

付き合ってきた3年の間に二人で積み上げてきた物を、一瞬にして失う可能性だってあると言うのに。

それでも浮気したということは、もしかしてその原因は私にもあるんだろうか?

「護が浮気したのって……私とのセックスでは満足できないからなのかな?満足できたら浮気やめると思う?」

「さぁ、どうやろなぁ……。言うても全然してなかったわけちゃうやろ?」

「まぁ、普通に…………ん?あれ?」

普通に、と思っていたけれど……最後にしたのはいつだっけ?

私が首をかしげて考えていると、葉月もつられて首をかしげた。

「どないした?」

「全然普通にしてないよ……最後がいつだったか思い出せない……」

< 14 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop