社内恋愛狂想曲
「シゲは優しくて頭も良くて、昔から私が困ってるときはいつも助けてくれるねん。ホンマにめちゃめちゃええやつなんよ。私のことめっちゃ大事にしてくれてるのもわかるし、一緒になって大阪に帰るのもありかなぁって……」

前に一度会っただけだけど、確かに茂森さんはとても細やかな気配りのできるいい人で、周りの人たちからも頼りにされていて、葉月は茂森さんのことを“みんなの頼れるアニキみたいなヤツやで”と言っていた。

だけど茂森さんとしては、葉月のアニキ的ポジションは不本意だったというわけだ。

昔からお互いをよく知っていて、相手はとてもいい人で、そしてなんと言っても葉月を誰よりも愛して大切にしてくれているのだから、私からすれば理想的な結婚相手のように思える。

葉月と自分のグラスにビールを注ぎ、店員を呼び止めて新しい瓶ビールを注文した。

「じゃあお祝いに奢るから、葉月の寿退社を祝ってとことん飲もうよ」

「とことんって……今日まだ月曜日やで?」

「いいじゃん、月曜だって。もし潰れちゃったら私が責任持って送り届けるからさ」

私がグラスを掲げると葉月も少し笑ってグラスを掲げ、軽くグラスを合わせた。



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