社内恋愛狂想曲
茂森さんとの結婚を決めたと言うわりにはそのことについて話してくれないし、いつも恋愛について相談するのは私ばかりだから、たまには葉月の恋バナというやつを聞いてみたいし、好きな人のことを話す葉月を見てみたい。

「そうだね。じゃあ、たまには葉月の恋バナでも聞かせてよ」

「あー、コイバナって美味しいよな。中毒性が怖いからめったに買わんけど」

美味しい……?

中毒性がなくても普通に買わないけど……?

「葉月、それ何の話?」

「何って味の濃いバナナやろ?ちょっとお高いやつ」

「そうそう、一度食べたらもう病みつき……って、なんでやねん!」

葉月はケラケラ笑いながらまた自分のグラスにビールを注いだ。

思わず葉月直伝のノリツッコミを発動させてしまったけど、今のは話をはぐらかすためにボケたのか?

酔っていても笑いには貪欲なところは根っからのナニワっ子とでも言うべきか。

「そうじゃなくて、私は葉月の恋の話が聞きたいの!言っとくけど魚の鯉じゃないよ、人を好きになる方の恋だからね!」


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