社内恋愛狂想曲
そんな片想いが続いて2年ほどが経った頃、その人から付き合って欲しいと言われ、信じられないようなことが起こったせいで、もしかしたら夢なんじゃないかとか、冗談だったらどうしようとか、ずっと片想いしてきた分だけ頭の中にいろんなことがかけめぐって、彼を目の前にしてなかなか言葉が出て来なかったけれど、やっとの思いで声を絞りだし「はい」と返事をしたそうだ。

「同じ職場で周りに気ぃ遣わせたくないから私らが付き合ってることは黙っとこうって約束やったけど、付き合い始めた頃はそんなんどうでも良くなるくらい浮かれてたし、一緒にいても別々におっても、どこで何しててもとにかく嬉しくて幸せやってん」

そう、わかるわかる。

社内恋愛ってこちらも周りもなんか気を遣うんだよね。

……って…………ん……?

今サラッと同じ職場って言ったよね?

葉月に社内恋愛の経験があったなんてホントに初耳なんですけど!!

そう突っ込みたいのは山々だけど、葉月の話は進んでいく。

気になることは覚えておいて、後で詳しく聞いた方が良さそうだ。

「でもな……そいつが誰にでも優しいから、とにかくモテるのよ。それがまた本人はモテるの無自覚で、天然タラシでな……。最初に言うたやろ?私めっちゃヤキモチ妬きやねん。なんで他の女にベタベタされるの黙って見とかなアカンねん!って腹立つやん?」

「確かにそれはしんどいね」

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