社内恋愛狂想曲
「志織が今日会おうって言ったのに連絡もなかったから、ずっとここで待ってたんだけど……」

「午後から急ぎの仕事で必死になって、連絡しそびれてた。ホントにごめんね」

連絡もせず待たせてしまって悪かったと思い素直に謝ると、護は手を握る力はゆるめず、口元に笑みを浮かべた。

「ふーん、そっか。とりあえず喉乾いたし、お腹も空いたから部屋に入れてよ。志織の晩御飯楽しみにして来たんだ」

そういえば晩御飯を作る約束だったのに、買い物に行っていないから家にはたいした食材はなかったはずだ。

「ごめん、週末忙しくて買い物にも行けなかったから、たいしたものは作れないんだけど……」

「志織の作った料理ならなんでもいいよ」

正直言ってこんな遅い時間から料理はしたくないけど、自分から言い出したことだからしょうがない。

それに私の落ち度で長い時間待たせてしまったんだから、何も食べさせないで帰すわけにはいかないだろう。

「わかった、簡単なもので良ければ……」

「じゃあ早く志織んち行こう」

護は私の手をグイグイ引いてマンションの中へ入り、エレベーターのボタンを押した。

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