社内恋愛狂想曲
なんと言って断ろうかと考えていると、護は私の唇に軽くキスをして、懇願するような甘えた目で私を見つめた。

「……だめ?」

「……そんな気分じゃない」

護を両手で押し退けて起き上がる。

誰が勝手にキスしていいって言った?

キスなんか散々してきたんでしょ?!

なんで私が奥田さんと間接キスしなきゃいけないの?

私のことなんかどうだっていいくせに、今さら嫉妬なんかするってなんなの?!

腹が立つのを通り越して、何がなんだかわからなくなるほど悔しくて情けなくて、涙が溢れてこぼれ落ちた。

護に疑われたことが悲しくて私が泣いていると勘違いしたのか、護は私の涙に動揺して、オロオロしながら私を抱きしめる。

「ごめん志織、泣かせるつもりはなかったんだ。俺は志織が好きだから、他の男に取られるのは許せなくてそれで……」

確かに私が護の前で泣くのなんて初めてだから動揺するのもわからなくはないけど、しらじらしい嘘のいいわけはもういいって。

とにかくもう面倒だから、この流れでお帰り願おう。

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