社内恋愛狂想曲
「今日はもう帰って」
「えっ、でも」
「お願い、帰って」
私がうつむいてハンカチで涙を押さえていると、護は力なく立ち上がった。
お腹が空いてるんだもの、力も出ないよね。
護が部屋の床の上に放り出した鞄と紙袋を拾い上げ、私の方を振り返ろうとしたので、私は慌てて下を向き泣き真似をする。
「じゃあ今日は帰るよ。出張のお土産、テーブルの上に置いとくから」
ダイニングのテーブルの前で護が立ち止まるのが気配でわかった。
おそらく持ってきたお土産を置くのを躊躇したのだろう。
テーブルの上には護が手に持っているものとまったく同じの、私が土曜日に伊藤くんからもらった生八ツ橋が、未開封のまま置かれている。
「……これ、どうしたの?」
「土曜日にいとこの赤ちゃんを見に行ってから実家に寄った帰りに、京都に行ってた知り合いに偶然会ってもらった」
「へぇ、偶然……。俺も同じもの持ってきた」
「えっ、でも」
「お願い、帰って」
私がうつむいてハンカチで涙を押さえていると、護は力なく立ち上がった。
お腹が空いてるんだもの、力も出ないよね。
護が部屋の床の上に放り出した鞄と紙袋を拾い上げ、私の方を振り返ろうとしたので、私は慌てて下を向き泣き真似をする。
「じゃあ今日は帰るよ。出張のお土産、テーブルの上に置いとくから」
ダイニングのテーブルの前で護が立ち止まるのが気配でわかった。
おそらく持ってきたお土産を置くのを躊躇したのだろう。
テーブルの上には護が手に持っているものとまったく同じの、私が土曜日に伊藤くんからもらった生八ツ橋が、未開封のまま置かれている。
「……これ、どうしたの?」
「土曜日にいとこの赤ちゃんを見に行ってから実家に寄った帰りに、京都に行ってた知り合いに偶然会ってもらった」
「へぇ、偶然……。俺も同じもの持ってきた」