社内恋愛狂想曲
「どうしてそう思うの?」

「夕べ遅くに、彼がまたうちに来たんです。久しぶりに彼女の作ったごはん食べさせてもらうの楽しみにしてたけど、ごはんも彼女自身も食べさせてもらえないうちに冷たく追い返されたって、へこんでましたよ」

なんだと?

護はあの後また奥田さんのところに戻ったのか!!

いやもう、ホントにわけがわからないから!

「彼女はもう冷めちゃってるんですかね。いつになったら別れてくれるのかなぁ……」

奥田さんは鏡越しにちらりと私の方を見ながらそう言って、パウダールームを出て行った。

悔しい……!

なんだかものすごい敗北感だ。

結局護は色気とか可愛いげとか、とにかく女として私に足りないものを全部奥田さんに与えてもらってるんじゃないか。

“いつになったら別れてくれるのかなぁ”って、むしろどうして護が私にこだわるのか、こっちが知りたいくらいだ。

「こうなったら何がなんでも簡単には引き下がってやらないからな!」と心の中で叫びながら足をジタバタさせていると始業5分前のベルが鳴り、私は慌てて気持ちを切り替えてオフィスに戻った。



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