社内恋愛狂想曲
「伊藤くんはスマホが水没してデータが飛んで、スマホを買い替えたから番号もアドレスも変わったんだよね?」
「そうだけど」
「それでお互いに連絡ができなかったから、葉月も自然消滅したって思ってたんだよね?だったら昨日どうして葉月は伊藤くんに電話できたの?」
私が尋ねると、葉月は一瞬目を見開いた後でキョロキョロと視線を泳がせ、瀧内くんは呆れた様子でため息をついた。
「同じ営業部ですよ?伊藤先輩が木村先輩の担当事務員じゃなくても、営業職の社員は部署に携帯の番号を教えるんですから、それを見て自分のスマホに登録するくらいは簡単でしょう。木村先輩は伊藤先輩が本社に戻ってきてから、一度は電話してみようとしたってことじゃないですか?」
どうやら図星だったようで、葉月は赤い顔をして下を向いている。
「あ、そうか。なるほどね」
私も営業部で事務をしていたのに、なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
素朴な疑問が解決してスッキリしたと思っていると、瀧内くんが紙ナフキンを手に取り、なんでもないことのように私の唇の左側をサッと拭った。
あまりに自然な手付きだったので、私も葉月と伊藤くんも呆気に取られてしまう。
「そうだけど」
「それでお互いに連絡ができなかったから、葉月も自然消滅したって思ってたんだよね?だったら昨日どうして葉月は伊藤くんに電話できたの?」
私が尋ねると、葉月は一瞬目を見開いた後でキョロキョロと視線を泳がせ、瀧内くんは呆れた様子でため息をついた。
「同じ営業部ですよ?伊藤先輩が木村先輩の担当事務員じゃなくても、営業職の社員は部署に携帯の番号を教えるんですから、それを見て自分のスマホに登録するくらいは簡単でしょう。木村先輩は伊藤先輩が本社に戻ってきてから、一度は電話してみようとしたってことじゃないですか?」
どうやら図星だったようで、葉月は赤い顔をして下を向いている。
「あ、そうか。なるほどね」
私も営業部で事務をしていたのに、なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
素朴な疑問が解決してスッキリしたと思っていると、瀧内くんが紙ナフキンを手に取り、なんでもないことのように私の唇の左側をサッと拭った。
あまりに自然な手付きだったので、私も葉月と伊藤くんも呆気に取られてしまう。