社内恋愛狂想曲
使えるものは親でも使え
「佐野主任、なんのためにここに来たか忘れてませんか?」
食事の後、瀧内くんはドリンクバーで入れてきた温かいカプチーノを差し出しながらそう言った。
確かにここに来てから伊藤くんと葉月のこじれた仲を取り持つのに精一杯で、何か大事なことを忘れている気がする。
「そういえば……えーっと、なんだっけ?」
本来の目的をすっかり忘れて思い出せない私に、瀧内くんは本気で呆れているようだ。
「僕は伊藤先輩と木村先輩の痴話喧嘩の仲裁のためにここに来たんじゃありませんよ。三島課長の話をするためです」
「そっか、そうだったね」
昨日の晩からここに来るまでにいろいろありすぎて、正直言うと三島課長の偽婚約者の件は、私の中ではかなり薄れている。
三島課長から「気にしなくてもいい」と言われたこともその一因なのだろうけど、その後に護に会ったことも、今日奥田さんに言われた言葉も衝撃的で、私の恋愛における許容量をオーバーしかけているからだろう。
一方、瀧内くんに耳の痛いことをハッキリ言われた伊藤くんと葉月は、顔をひきつらせて必死で作り笑いを浮かべている。
食事の後、瀧内くんはドリンクバーで入れてきた温かいカプチーノを差し出しながらそう言った。
確かにここに来てから伊藤くんと葉月のこじれた仲を取り持つのに精一杯で、何か大事なことを忘れている気がする。
「そういえば……えーっと、なんだっけ?」
本来の目的をすっかり忘れて思い出せない私に、瀧内くんは本気で呆れているようだ。
「僕は伊藤先輩と木村先輩の痴話喧嘩の仲裁のためにここに来たんじゃありませんよ。三島課長の話をするためです」
「そっか、そうだったね」
昨日の晩からここに来るまでにいろいろありすぎて、正直言うと三島課長の偽婚約者の件は、私の中ではかなり薄れている。
三島課長から「気にしなくてもいい」と言われたこともその一因なのだろうけど、その後に護に会ったことも、今日奥田さんに言われた言葉も衝撃的で、私の恋愛における許容量をオーバーしかけているからだろう。
一方、瀧内くんに耳の痛いことをハッキリ言われた伊藤くんと葉月は、顔をひきつらせて必死で作り笑いを浮かべている。