社内恋愛狂想曲
「すみません、勝手なことをして……。大丈夫ですか?」

「ああ……うん……。なんかホントごめんな。佐野は関係ないのに、うちの親に嘘なんかつかせて……。それと言うのも……」

三島課長はギロリと瀧内くんをにらみつけ、まったく反省していない様子を見て大きなため息をついた。

「玲司……おまえ、謀ったな」

「なんのことです?」

「とぼけるなよ。こうなるようにおまえが仕組んだんだろう?」

瀧内くんは焼き上がったタコ焼きをお皿に放り込み、油を敷いて生地を流し込む。

「だって潤さん、こうでもしないとおじさんの決めた相手と仕方なく結婚することになるよ」

「だけどこれは俺だけの問題じゃないだろう?佐野まで巻き込んで迷惑をかけてしまうんだぞ」

三島課長に何があったのかは知らないけれど、関係のない私は口をはさむべきじゃないと思うし、話は簡単に終わりそうにないから、三島課長と瀧内くんを交互に見ながら、頭の中を一から整理することにした。

潤さんというのが三島課長で、玲司というのが瀧内くん、ついでに志岐というのが伊藤くん。

三島課長のお父さんが瀧内くんのおじさんで、ゆうこさんというのが三島課長のお父さんの再婚相手で、三島課長の継母にあたる人で、おまけに瀧内くんのお母さん……?

三島課長のお父さんは、瀧内くんだけでなく伊藤くんのこともよく知っているようだった。

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