社内恋愛狂想曲
Sweet Lovers(偽)
海沿いのベンチに座って話し込んでいるうちに日が暮れ、辺りは次第に薄暗くなり始めた。

港に停泊している船や、海を見下ろす建物に明かりが灯り、迫りくる夕闇を照らす。

「暗くなってきたと思ったらもうこんな時間か」

三島課長は腕時計を見ながら呟く。

時計の針はまもなく5時半を指そうとしていた。

「ディナーは7時からだから、まだもう少し時間があるな」

「じゃあ、もう少し向こうの方まで歩いてみませんか?」

「よし、行ってみようか」

ベンチから立ち上がると、三島課長は当たり前のように私の手を握った。

そしてもう片方の手で私の頬にそっと触れながら、私の顔を覗き込むようにじっと見つめる。

「ちょっと冷えてるけど大丈夫か?寒くない?」

「いえ……大丈夫です……」

私は予想外の三島課長の行動にドキドキして、思わず目をそらしてしまった。

さっきの“どうせやるなら、徹底的にやらなきゃな”って言葉はこういうこと?

三島課長って、さらっとこんなイケメンっぽいことができる人だったのか……!

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