社内恋愛狂想曲
「……私の重みで押し倒してしまわなくて良かったです……」

「押し倒すって……俺はあれくらいで倒れるほど弱くない。なんなら志織をお姫様だっこしてスクワットくらいはできる」

お姫様だっこ……!

それは全女子が感激して号泣する夢のようなシチュエーション……!

しかし姫をだっこしてスクワットをするなんて、ずいぶんたくましい筋肉質の王子様だ。

三島課長もたまにはそんな冗談を言うんだなと思って笑うと、三島課長は缶コーヒーをベンチの上に置いた。

「嘘だと思うならやってみようか?」

「えっ?!」

私の手からペットボトルのお茶を取り上げてベンチに置くと、三島課長は私の背中と膝の裏に手を添えて、軽々と私を抱えあげた。

体が宙に浮いて驚いた私は防衛本能が働いて、落とされないようとっさに両腕を三島課長の首の後ろに回す。

「なんだ、軽いじゃん」

「嘘じゃないってわかりましたから!下ろしてくださいよ!」

「こんなこともできるけど?」

そう言って三島課長は私を抱えてその場でグルングルン回る。


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