社内恋愛狂想曲
おそらく時と場所もわきまえず発情した二人は、滅多に人の来ない薄暗くホコリっぽいあの場所で互いの性欲を満たし、その事後をたまたま瀧内くんに目撃されたのだろう。

社会人として恥ずかしくはないのか?

せめて会社の人に見つからないようにするくらいの配慮ってものはないのか?

その他にもいろいろと思うところはあるけれど、呆れ果てて言葉が出てこない。

「所かまわず盛りよってからに、会社をなんやと思うてるねん……。せやけど変やないか?橋口は彼女と結婚したい言うてのろけまくっとんやろ?」

葉月は眉間にシワを寄せながら首をかしげる。

ゆっくりとは言えずいぶん飲んだし、さすがにお酒が回ってきたのだろう。

最初は“橋口くん”“瀧内くん”と呼んでいたのに、完全に呼び捨てになってしまっている。

上司の三島課長が抜けて気をつかう相手がいなくなったこともあってか、言葉遣いもだんだん荒くなってきているような気がするのは、私の気のせいではないと思う。

「カムフラージュですかね?橋口さんと奥田さんがイチャついているところは何度か見てますけど、一緒にいるのを初めて見たのは営業部に異動した直後だから、半年くらい前です。少なくとも半年前には二人は何らかの関係があったことになりますね」

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