社内恋愛狂想曲
それから30分後に迎えに来た三島課長は、いつもよりほんの少しソワソワしていた。

もしかしたら頭の中で、私を婚約者だと紹介するシーンをシミュレーションして緊張しているのかな?

それとも昨日のことがまだ気まずいのかも知れないと思ったけれど、私の方からは何も言わなかったし、三島課長もそのことには一切触れなかった。

瀧内くんと伊藤くん、そして葉月を順番に迎えに行って、向かった先はスポーツセンターの体育館だった。

三島課長たちのバレーボールサークルは地域のスポーツ振興事業に参加していて、地域の祭りの出店やイベントなどの手伝いもする代わりに、平日の夜や休日に地域の小学校や自治体の運営する体育館を無償で借りて練習しているそうだ。

今日はスポーツセンターの体育館を朝の10時から昼の1時まで借りられるということだった。

メンバーの中には公立の小学校の先生がいて、その人が代表となって、練習場所の確保や保険などの事務的な手続きをしているらしい。

サークルのメンバーは会社員がほとんどで、他にも大学生や幼稚園の先生、専業主婦、中村さんのような自営業の人も何人かいるそうだ。

昨日シーサイドガーデンで散歩をしているときに三島課長から聞いた話によると、例のモナちゃんは20歳の大学生で、街を歩けば芸能事務所のスカウトマンから頻繁に声をかけられるほどの、かなりの美人だという。

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