社内恋愛狂想曲
この話題は早々に切り上げないと、きっと何もかも見透かされて丸裸にされてしまう。

危険を察知した私は慌てて他の話題を探した。

「そういえば……瀧内くんは昨日どこに行ったの?車借りて遠出でもした?」

「僕はおばあちゃんとデートしてました」

いつもクールな瀧内くんの口から、思いも寄らぬ言葉が飛び出した。

「おばあちゃんと?」

「僕と潤さんと志岐くんがいとこだってことは、潤さんから聞いたんでしょう?昨日会ってたのは僕たちのおばあちゃんです。僕とパンケーキ食べに行ってドライブもしたいって、おばあちゃんからデートのお誘いがあったので。僕、おばあちゃんっ子なんです」

「へぇ……。孫とパンケーキが食べたいなんて、ずいぶん可愛らしいおばあちゃんなんだね」

瀧内くんの歳上キラーぶりは、もしかしたらおばあちゃんに培われたものかも知れない。

「歳のわりに元気で可愛いんですよ。でもせっかくおばあちゃんと楽しく過ごそうと思ってたのに、そこでまた見たくもないもの見ちゃったんですけどね」

そう言って瀧内くんは苦虫を噛み潰したような顔をした。



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