社内恋愛狂想曲
そんな安い昼ドラみたいな馬鹿げたことを考えていると、重そうな紙袋を手にした三島課長が戻ってきた。

うっかり良からぬことを考えてしまったせいで、三島課長の顔がまともに見られなかった。

「お待たせ。……ん?どうした?気分でも悪い?」

「いえ、ちょっと……」

三島課長は誰にでもそんなことをする人じゃない。

私の妄想の中とはいえ、三島課長を汚してしまったみたいで気分は最悪だ。

あんなことを考えるなんて……私、欲求不満なのかな?

私は元々、性的には淡白な方だと思っていたのに、長い間護に放置されていたからなのか、ずっと眠っていた私の女の部分が、ここに来て最悪の形で目を覚ましてしまったのかも知れない。

自己嫌悪と情けなさと恥ずかしさで、影も形も残さずこの場から消えてしまいたくなる。

「あの……やっぱり一人で帰ります」

「はい却下。何がなんでも送るから」

三島課長は玄関の鍵をしめて、荷物を持っていない方の手で私の手をしっかりとつかまえる。

「さぁ、行こうか」

三島課長がそう言うと同時に、ガチャンと門扉の開く音がした。

「潤!」



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