社内恋愛狂想曲
いや待てよ。

お父さんと一緒なら真ん中のシートか後部座席に二人で乗るだろうし、ゆうこさん一人を助手席に乗せることなんてあるかな?

……うん、身内なら、それもなくはないか。

つまらないことで嫉妬なんかしている心の狭さを打ち消そうと、無理やり自分を納得させようとしてみる。

「え?車の中に?そんなもの見なかったけど……」

どうやら相手の女性は何かを探していて、それを車の中で見なかったかと聞いているらしい。

もしかして……というか、おそらく……探しているのはこれだよね?

「本当によく探した?芽衣子の勘違いじゃないのか」

三島課長があの人の名前を口にした。

……なんだ。

三島課長はあの人とただ一度食事をしただけでなく、その後も普通に連絡を取り合ったり、この車に乗せたりもしているんだ。

私だって会社の同僚だし、連絡を取ったり車に乗せてもらったりしているのだから似たようなものかも知れないけど、あの人が本当に三島課長の好きな人なのであれば話は別だと思う。

まさか、三島課長と会う口実を作るために、あの人がわざと見つけにくい場所に落として行ったなんていうことは……。

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