社内恋愛狂想曲
私の気持ちは私の胸だけにしまっておいた方がいいと思い、言葉を濁すような言い方をした。

瀧内くんは私の顔をじっと見ている。

「志織さんはそれで良かったんですか?」

瀧内くんがどうしてそう言うのかはわからないけれど、私のことを心配してくれているということだけはわかった。

だけど私には三島課長と下坂課長補佐の間に割って入るようなことはできないから、どうしようもない。

「いいも何も……。最初から私は、三島課長にはずっと前から好きな人がいるって知ってたわけだし……三島課長がその人と幸せになろうとしてるんだから、私が言うことなんて何もないよ」

私がそう答えると、瀧内くんは大きなため息をついた。

「ああもう……。相変わらずチョロいなぁ……」

「えぇっ……?!」

またしても“チョロい”と言われ、“私のどこが?”とか、“どうしてそう言われるの?”と、いくつもの疑問符が私の頭の中を飛び交う。

「僕、志織さんのことが本気で心配になってきました。バカ高い印鑑とか霊能者の勧めた壺とか買わされてませんか?」

「それはないけど……なんで??」

一体どうしてそんな心配をされているんだろう?

私はこう見えて財布の紐は固いのに。

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