社内恋愛狂想曲
「それならいいんですけどね……。これを持てば幸せになれるとか、これさえあれば一生お金に困らないとか、そんなうまい話はないんですから、気を付けてくださいよ」
「そんな胡散臭い話は信じないから大丈夫だよ!」
会社の前で霊感商法に気を付けろと部下に諭されるって、一体なんなの?
私ってそんなに頼りなく見えるんだろうか?
一緒にエレベーターに乗っても、さっきの説教はなんだったのかと考えていると、瀧内くんは降りる間際に私の耳元に顔を近付け、声を潜めてこう言った。
「志織さん、胡散臭い話は信じちゃダメですよ。二股かけて裏切った女をずっと好きで、よりを戻す男がいるとかね」
「……え?」
その言葉に耳を疑い、思わずぐるんと瀧内くんの方を向くと、瀧内くんのきれいに整った顔がすぐ目の前にあることに驚き後ずさる。
「今日の歓迎会は生産管理課と同じ店でしたね。楽しみだなぁ……」
瀧内くんは楽しそうにそう言って、思いきり右の口角を上げた冷たい笑みを浮かべながらエレベーターを降りた。
一体何を企んでいるのかと思うと背筋に冷たいものが走る。
私は“今日の歓迎会が何事もなく平穏に終わりますように”と心から祈った。
「そんな胡散臭い話は信じないから大丈夫だよ!」
会社の前で霊感商法に気を付けろと部下に諭されるって、一体なんなの?
私ってそんなに頼りなく見えるんだろうか?
一緒にエレベーターに乗っても、さっきの説教はなんだったのかと考えていると、瀧内くんは降りる間際に私の耳元に顔を近付け、声を潜めてこう言った。
「志織さん、胡散臭い話は信じちゃダメですよ。二股かけて裏切った女をずっと好きで、よりを戻す男がいるとかね」
「……え?」
その言葉に耳を疑い、思わずぐるんと瀧内くんの方を向くと、瀧内くんのきれいに整った顔がすぐ目の前にあることに驚き後ずさる。
「今日の歓迎会は生産管理課と同じ店でしたね。楽しみだなぁ……」
瀧内くんは楽しそうにそう言って、思いきり右の口角を上げた冷たい笑みを浮かべながらエレベーターを降りた。
一体何を企んでいるのかと思うと背筋に冷たいものが走る。
私は“今日の歓迎会が何事もなく平穏に終わりますように”と心から祈った。