社内恋愛狂想曲
歓迎会が始まり、案の定私は上座の有田課長の隣でお酒を飲んだ。

最初の一杯は全員ビールで乾杯して、そのあとは宴会プランに入っているお酒から好みのものを注文する。

チューハイとかカクテルとかハイボールとか、どれもアルコール度数が低く私の酔えなさそうなお酒ばかりだったので、こうなったら少しでも多く飲んでやろうと次々にグラスを空ける。

お店に入る前、瀧内くんはこう言った。

「二次会は幹事が相談して生産管理課と二課が合流することになってますので、一緒に飲みましょう。志織さんはもう一度だけ潤さんの偽婚約者になって、僕に話を合わせてくださいね」

一体どういうつもりなのかはわからないけれど、そんなこととても正気ではできそうもない。

少し酔えば饒舌になってうまく乗りきれるのではないか。

そう思ったのだけど、少し酔うまでにどれだけ飲めばいいのだろう?

量で勝負しようと思ったものの、飲んでいるうちにだんだんお腹が苦しくなってきた。

私はちょうど近くを通りかかった店員を呼び止め、別料金になってもかまわないからボトルを入れることは可能かと尋ねた。

店員は快諾して私にメニューを見せる。

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