社内恋愛狂想曲
「可愛らしさを出せって言われてもよくわからないんだけど……どうすればいいのか具体的に教えてくれる?」

「もっと橋口先輩をひきつけるような……例えば好きな料理を作って待ってるとか、一緒に行きたい所があるとか……」

簡単に可愛いらしさは出せないけれど、私は護の味の好みや苦手な食べ物も知っているし、護の好きな料理を作ることに関してだけは他の人に勝つ自信がある。

だから“タダメシ担当の女”と思われているのかも……という複雑な気持ちにならなくもないけれど、これより他に護を喜ばせる方法が思い付かないのだからどうしようもない。
 
「じゃあ……護の好きな料理でも作ることにする……」

【 会いたいなってずっと思ってるんだけど…… 最近全然連絡くれないね。仕事忙しいの?
今日は一緒に晩ごはん食べようよ。護の好きな料理作って待ってるから 】

うう……なんか恥ずかしくなってきた。

こんなメッセージ、普段は絶対に送らないのに。

「こんなもんでどうでしょうか……」

スマホの画面を見せると瀧内くんは小さくうなずいた。

「まぁ、さっきより少しは良くなったんじゃないですか。早速送ってください」

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