社内恋愛狂想曲
私は仕方なく三島課長の体をそっと揺する。

「三島課長……」

控えめに声をかけてみたけれど、起きる気配はまったくない。

「三島課長、起きてください」

もう少し強めに揺すっても、やはり起きそうにない。

あれだけ酔っていたんだから無理もないか。

そういう私もまだ頭がぼんやりして、喉が渇いている。

私は膝の上から三島課長の頭をソファーの上にそっと乗せ、グラスを持って立ちあがる。

そしてまだ少しふらつく足取りでキッチンに向かい、グラスに注いだ水を飲み干して、濡れた口元を指先で拭った。

さて、どうしたものか。

どうにかしてもう一度起こしてみようかと考えたとき、瀧内くんが帰り際に言っていたことを思い出した。

あんなにぐっすり眠っていても、本当に起きるのかな……?

普段の私なら絶対にそんなことはしないだろうけど、酔いも手伝って好奇心が抑えきれず、リビングに戻って三島課長のそばに座り込んだ。

三島課長は相変わらず気持ち良さそうに眠っている。

「三島課長、起きてください」

もう一度普通に起こしてみたけれどまったく起きる気配がないので、三島課長の耳元にゆっくりと口を近付けた。

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