社内恋愛狂想曲
Mother Quest ~ラスボスが現れた!~
夕飯のあと二人で一緒に後片付けを済ませ、リビングのソファーに座ってコーヒーを飲んだ。

「明日の11時頃に伺いますって言ったけど、志織の実家まで車でどれくらいかな」

私はいつも実家へは電車で帰るから、車での所要時間は正確には把握していない。

実家の場所を伝えると、潤さんはタブレットを操作して地図を映し出した。

「この辺りかな」

「そう、この先をまっすぐ行って……ここ」

「えーっと……ここなら1時間ちょっとくらいで着くんじゃないかな。日曜だから渋滞することも想定して、9時頃に出ようか」

「そうですね……って、ちょっと待って潤さん」

ゆうべからこの家にいたからすっかり馴染んでしまって、うっかりこの家から出掛けるような気分になっていたけど、私の家はここじゃない。

化粧や着替えをするためには一度家に帰る必要がある。

「ん?どうかした?」

「私、今日は家に帰らないと」

私がそう言うと、潤さんは露骨にがっかりして見せた。

「えーっ……今日帰るの?」

「だって、化粧とか着替えとか、出掛ける支度しないといけないでしょ?」

「それはそうだけど……俺は今夜も志織と一緒にいたいなぁ……」

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