社内恋愛狂想曲
「これでいとこの女の子の中で独身は志織だけになるわねぇ……」

非常に痛いところを突かれてしまった。

父方と母方両方の身内の中で女の子は私を含めて6人いるけれど、私より年齢が上か下かは関係なく私と珠理以外はみんな結婚して子供がいる。

珠理はまだまだ若いから当分結婚はしないと思って安心していたのに、私が独身最後の一人になってしまうとは。

今時30歳で独身なんて珍しくもなんともないけれど、母親に心配そうにしみじみ言われるとなかなかつらいものがある。

「誰かいい人はいないの?あんただって来年は30になるんだし、いつまでも独身ってわけにもいかないでしょう。もし付き合ってる人がいるなら今度連れてきなさい」

今の状態ではとてもじゃないけど、両親に胸を張って護を紹介することなんてできない。

マシンガンのように攻撃する口を休めない母に対して返す言葉が見当たらず、カラカラに渇いた喉を潤そうと無言でコーヒーを流し込む。

「いないなら今はやりの婚活とかいうのやってみれば?結婚相談所とかお見合いパーティーとかあるんでしょ?なんなら知り合いにお見合いの世話してる人がいるから頼んであげるわ」

これはかなりまずい状況だ。

無理にでも話を切り上げなくては。

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