社内恋愛狂想曲
明日からどんな顔をして潤さんと会えばいいんだろう?

部署が違うとはいえ同じ会社で、同じバレーボールサークルにも所属しているのに、まったく顔を合わせないなんていうことは不可能だ。

きらいになって別れたのなら、新しい恋や仕事に没頭すれば忘れられるかも知れない。

だけど私は潤さんが好きだから、きっと何をしても潤さんのことを考えてしまうだろうし、何もなかったことになんてできるわけがない。

“このまま終わってしまっても後悔しない?”

心の中の私が私に問いかける。

後悔するかしないかなんて、後になってみないとわからない。

先のことはおろか、今この瞬間のことでさえ、何が正しいのかわからないのに。

“今の自分にとって何が一番大切か、よく考えるのよ”

別れ際に母の言った言葉が、私の心に重くのしかかる。

それはまるで、決して解くことのできないピースの足りないパズルのようで、今の私にはあまりにも過酷な課題だと思う。

想像を絶するほどの困難な現実に直面したとき、『二人ならどんな壁も乗り越えられる』とか、『好きならどんなことがあっても離れちゃダメ』という安いドラマみたいな言葉は、なんの役にも立たないのだ。

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