社内恋愛狂想曲
声に出して素直な思いを口にすると、また涙が溢れて嗚咽がもれる。

私は枕に顔を埋めて泣きながら、いつの間にか眠っていた。


出張2日目も支社での会議に始まり、そのあと初日とは別の工場と販売店の視察に駆けずり回った。

夜にはクタクタになってホテルに戻り、またなかなか寝付けないまま、潤さんを想って泣きながら眠る。

最終日の朝にはさすがに疲れ果て、少しでも気を抜くと倒れてしまいそうになりながらも、なんとか気を引き締めて仕事をこなした。

昼過ぎには出張中に課せられていたすべての仕事を終え、満身創痍で新幹線に乗り込んだ。

ぼんやりと車窓からの景色を眺めながら、やっぱり潤さんのことばかり考えていた。

潤さんが好きだから一緒にいたい。

私の望みはただそれだけなのに、先のことを考えるとそんな単純なことでは済まされない。

顔を見ればきっとまたつらくなるとわかっているのに、潤さんに会いたくてどうしようもない。

いっそもう二度と会えないくらい遠くへ行ってしまえたら、あきらめらがつくのかも知れない。

だけどもし本当に潤さんに会えなくなったとしたら、私はその寂しさに耐えられるだろうか。

そう思っている今でも、潤さんに会いたくてしかたがないのに。

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