社内恋愛狂想曲
罰として禁欲を言い渡されたことがよほどこたえたのか、潤さんは肩を落としてしおらしく返事をした。

ちょっとかわいそうな気もするけど、あれ以上の快感を与えられてしまっては、私まで自制がきかなくなってしまう。

私と暮らし始めたことが原因で怪我が悪化してしまっては困るから、せめて怪我が治るまでは頑張って自制してもらおう。

「わかればよろしい。それじゃあ、約束通り一緒にお風呂に浸かろうね」

「そうしようか」

私はギプスをしている左腕を、潤さんは左足を浴槽の外に出して湯舟に浸かる。

私はギプスをしているのが腕だからまだましだけど、潤さんは足だから湯舟に浸かる体勢が大変そうだ。

お風呂に浸かってひと息つくと、潤さんは何かいいことを思い付いたのか、「そうだ」と楽しそうに呟いた。

「二人とも怪我が治ったら旅行にでも行こうか?」

「新婚旅行?」

「ああ、それも考えないとな。でもそれとは別で、1泊2日くらいで近場の温泉なんかどうだろう。交際期間がほぼなかったし、そのうちのほとんどが入院中だったから、デートとか旅行とかできなかっただろ?結婚してから子どもができる前にそういうのできたらいいなぁって」
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