社内恋愛狂想曲
「そばにいても不安でしょうがないのに遠距離恋愛なんか絶対できないって彼女が言うから、結婚してついてきてくれないかって言ったけど、まだ仕事したいし結婚はできないって断られて終わった」

支社に異動になる前に付き合っていたということはもしかして、伊藤くんが私と噂になっていたときも彼女は不安になっていたんじゃないだろうか?

そして今も同じ部署にいるとしたら、毎日かなり気まずいのでは?

「ねぇ……もしかしてだけど……今もその彼女は営業部にいるの?」

「うん、いるよ。 ……あ、そうか。今はもう彼女じゃなくて元カノか」

「まだ好きだったりする?」

「どうかな。でももう浮気もしてないのに疑われてフラれるのはしんどいから、誰にも期待はしないことにした。もしかしたらお互いになんの期待もしてない相手と結婚した方がうまく行くのかもな」

そう言って伊藤くんは少し寂しそうに笑って見せた。

確かに伊藤くんの言う通り、最初から期待なんかしなければ無駄に傷つくことはないのかも知れない。


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