社内恋愛狂想曲
「それならいいかな。潤さんの手あったかいし」

「あったかいだけ?」

「ううん、大きくてあったかくて、優しいから好き」

「俺も志織の手、柔らかくてかわいいから好き。まぁ、俺は志織の全部が好きなんだけどな」

恥ずかしげもなく“好き”だとか“かわいい”という言葉を連発されると、こちらの方が恥ずかしくなる。

「潤さん、二人きりになるとそればっかり……」

「しょうがないじゃん、ホントのことだから。志織は?俺のこと好き?」

こ……これは……私も前に潤さんに聞いたやつだ……。

自分が聞くのも照れくさかったけど、改めて聞かれるのも照れくさくて、なんだかくすぐったい気持ちになる。

「もちろん……大好き」

何度も言っている言葉なのに、答えるのも妙に恥ずかしくて、顔が熱くなった。

潤さんは真っ赤になっているであろう私の顔を、ニヤニヤしながら覗き込む。

「あれ?志織、照れてる?」

「うん……ちょっとね……」

「かーわいいなぁ……。俺、志織の照れてる顔めちゃめちゃ好き。今すぐ残さず食っちまいたい」

嬉しそうにそう言って、潤さんは私をギューッと抱きしめ、頬や唇に何度も何度もキスをする。

< 905 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop