社内恋愛狂想曲
「じゃあ……ギプスが取れたら……」

「考えておきます。でも裸エプロンは恥ずかしいのでしません」

「でも一度くらいは……」

潤さんは蚊の鳴くような声でゴニョゴニョと呟いた。

「絶対にしません」

キッパリ断ると、潤さんは残念そうに肩を落とす。

「はい……わかりました……」

なんだかんだ言って、潤さんも“男のロマン”には興味があるらしい。

裸エプロンだけは断固お断りだけど、一度くらいならメイドもどきをやってあげてもいいかなと思ったりする私も、潤さんにだけは甘いのかも知れない。

「それじゃあ……二人ともギプスが取れて、普通に動けるようになったらデートしようね。このニットのワンピース着て行くから」

私が笑ってそう言うと、潤さんは嬉しそうに笑ってうなずいた。

その笑顔があまりにもかわいかったので、私は潤さんの隣に座り、腕を組んで肩にもたれる。

「ふふ……潤さんもやっぱりかわいい」

胸に頬をすり寄せながらそう呟いて顔を上げると、潤さんはピクリと眉を動かして私をガシッと捕まえる。

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