社内恋愛狂想曲
そうと決まれば話は早い
明け方近くに床に入ったというのに、やけに早く目が覚めてしまった、伊藤くんの衝撃発言から一夜明けた日曜日の朝。

目覚まし時計の針はまだ8時を少し過ぎたところをさしている。

せっかくの休日だから二度寝をしようと何度も試みたものの眠れず、逆にどんどん目が冴えてしまったので、観念して起き上がりベッドから降りた。

マグカップにコーヒーを淹れながら、ゆうべ帰宅してからひとりでやけ酒を煽った痕跡を横目で眺める。

お酒を飲みながら、護に期待して何かを求めたり、くだらない夢物語に縛られたりするのはもうやめようと考えていた。

浮気をされても別れる決心がつかなかったのは、きっと“3年も付き合ってきたんだから結婚するのが当たり前”と思っていたからだと思う。

これが二十代前半の若い頃ならまだしも、私は三十路を目前に控えた29歳で、そろそろ結婚もしたいし子どもも欲しい。

もし護と別れたら、また誰かと出会ってお互いを知って……というプロセスを一から始めなければならないのかと、考えるだけで気が遠くなる。

だけど千絵ちゃんや伊藤くんと話してみて、長く付き合ったからといって必ずしも結婚に結び付くとは限らないと思った。

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