正しい『玉の輿』の乗り方
6 婚活開始
その後、樹さんとは仕事以外で関わることもなく、慌ただしく日々が過ぎていった。
そして、気づけば木曜日。
樹さんが誘ってくれた“パーティー”の日を迎えた。
仕事を終えたあと、私は急いで髪をアップにし、パーティードレスに着替えた。
『とにかく品のあるデザインを』
樹さんはバイヤーの人にそんなリクエストをしていたそうで、私が勧められたのはピンクベージュのサテンのワンピだった。
胸元が少しシースルーになっているけれど、気品があってとても清楚に見えるドレスだ。
これならばきっと樹さんも気に入ってくれるはず。
そんな期待を胸に、樹さんの待つ会社の駐車場へと降りたのだけど。
ドレスを見た樹さんの反応は全く違うものだった。
「何だよ、そのドレス。胸元が透けてるじゃんか」
助手席に乗りこんだ瞬間、樹さんはため息をつきながらそんな感想を口にした。
「いや、でも……全体的には凄く上品なドレスだと思うんですけど」
ショックを受けながらそう言うと、更に大きなため息を返された。
「透けてる時点でエロいだろ? こんなエロいドレス着て、変な男が寄ってきたらどうするんだよ」
「…………」