正しい『玉の輿』の乗り方
【狭山ホールディングス会長 長峰修 誕生祝賀パーティー】
会場の入口でパーティー名を確認した樹さんは、早速スマホを出して、“長峰会長”を検索する。
「ああ……思い出した。あのツルッ禿げオヤジか」
樹さんはそんな失礼な言葉を呟きながら、私を連れて会場の中へと入っていった。
「うわ~すごいですね」
さすがに一流企業の会長さんだけあって、とにかく招待客の数が半端じゃない。
立食パーティーなんて初めて参加したけれど、イメージしていたよりもずっと規模が大きくて、とても華やかな世界だった。
『サクラージュホテル 飛天の間』
そう言えば樹さんも、ここで婚約披露パーティーを開くんだっけ…。ふと余計なことまで思い出して、ちょっとナーバスな気分になった。
「どうした? 緊張してるのか?」
樹さんが私の顔を覗き込む。
「あ、いえ。大丈夫です。ただ、皆さんの衣装がけっこう大胆なので圧倒されてただけです」
私は咄嗟にそう言って誤魔化した。
けれど、それも嘘じゃない。
参加者の女性はみんな派手なイブニングドレスを着て、平気で肩を出しているのだ。私の胸元のシースルーのチラ見せなんてたいしたことなかった。