クールな次期社長と愛されオフィス
それからしばらくして、久しぶりにマリカ先輩とランチをとっていた。

「宇都宮部長、先週ニューヨーク・ニュースの取材受けたんだって?」

「え?もうそんな情報入ってるんだ」

「社長がある役員からその話を聞いて随分いらだってたもの。うちの会社にとっては有益なことなのに、変なのって感じ。嫉妬狂いにも程があるわ」

社長の怒りをこれ以上買って欲しくはなかったけど、これも湊の実力のうちだからしょうがないもんね。

「他の役員達も間違いなく宇都宮部長の方に肩入れし出してるのよ。そりゃ、実力も才能もずば抜けて部長の方が上だもんね。どちらについていけばいいかくらい私でも一目瞭然だわ」

マリカ先輩は嫌味っぽく言いながら上目づかいで私を見た。

「だけど、部長は大丈夫ですかね?会社から追い出されやしないかしら」

「うん、そこが問題なのよ。部長がここまで会社で目立つ存在になってきたら、間違いなく来期の社長の座は危ういからね」

「部長の弱みを握られないようにしないといけないんですよね」

「そこは絶対だわ。少しでも弱みやボロが見つかったら、絶対攻撃してくるから」

私は運ばれてきたとんかつを一つ口に入れると、小さく息を吐いた。

弱みもボロも、今や見付かる寸でのところにある。

これも私が湊の秘書になり、付き合ってからグンと増えてしまった。

もし見付かったとしたら、全部私のせいだよね。

こんなにも部長のことを愛してるのに、部長の足を引っ張ることになるなんて絶対嫌だ。










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