クールな次期社長と愛されオフィス
新聞を読んでいる社長のデスクの前に「どうぞ」と言ってティーセットを置いた。
社長はようやく新聞をたたみ、デスクの上に置かれたセットに目をやる。
「うん、いい香りだ」
社長がどこまでその香りの違いがわかるのかは知らないけれど、宇都宮家だからそれなりにわかるのかもしれないと思う。
湊とは比べものにもならないだろうけど。
社長はストレートのまま口に含んだ。
「ん?」
そう言うと、少し目を見開いて、ティーカップを見つめた。
な、何?
そして、もう一度口に含む。
ゴクリと飲み込むと、ふぅと息を吐きながらカップを皿の上に置いた。
静まりかえった社長室が余計に緊張を高める。
「これは、ここの紅茶か?」
社長は初めて私の顔をしっかりと見つめて尋ねた。
「はい。給湯室にあったダージリンを使わせて頂きました」
「普段飲んでるものと格段に違う。確かにうまい」
そう言うと、また社長は紅茶を口に運んだ。
「ありがとうございます」
私は社長に頭を下げた。
「日々の鍛錬の味、というところか」
頭を下げる私の頭上で社長の皮肉めいた声が聞こえた。
日々の鍛錬の味って、どういう意味?
顔を上げたその時、社長が口の端をわずかに上げて言った。
「君は、この秘書の仕事以外に丸宮珈琲店というところで働いているらしいね」
社長はようやく新聞をたたみ、デスクの上に置かれたセットに目をやる。
「うん、いい香りだ」
社長がどこまでその香りの違いがわかるのかは知らないけれど、宇都宮家だからそれなりにわかるのかもしれないと思う。
湊とは比べものにもならないだろうけど。
社長はストレートのまま口に含んだ。
「ん?」
そう言うと、少し目を見開いて、ティーカップを見つめた。
な、何?
そして、もう一度口に含む。
ゴクリと飲み込むと、ふぅと息を吐きながらカップを皿の上に置いた。
静まりかえった社長室が余計に緊張を高める。
「これは、ここの紅茶か?」
社長は初めて私の顔をしっかりと見つめて尋ねた。
「はい。給湯室にあったダージリンを使わせて頂きました」
「普段飲んでるものと格段に違う。確かにうまい」
そう言うと、また社長は紅茶を口に運んだ。
「ありがとうございます」
私は社長に頭を下げた。
「日々の鍛錬の味、というところか」
頭を下げる私の頭上で社長の皮肉めいた声が聞こえた。
日々の鍛錬の味って、どういう意味?
顔を上げたその時、社長が口の端をわずかに上げて言った。
「君は、この秘書の仕事以外に丸宮珈琲店というところで働いているらしいね」