秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
お見合い 柊side



今宵さんを家まで車で届けた後、すぐに自分のマンションへと向かった。

部屋の前までたどり着き、
鍵を開けようとすると、それより前に扉がガチャっと開いた。



「柊ちゃんお帰りなさい、早かったね」

「‥‥‥‥。」


扉を開けたのは、もちろん若菜。
もういつもの部屋着に着替えていて、今日緩く巻いていた髪は後ろで一つにまとめてある。


「あのなぁ、俺が帰ってきたら俺が鍵開けるから勝手に出てくるなって言ったろ」

「足音でわかるよ。それにインターフォンもちゃんと確認してるし」

「俺に似た奴かもしれないだろ」

「そうそういないよ」


そう言って若菜は納得のいっていない不服そうな顔をしたが、少しだけ怖い顔をして目を細めると、怖がるように小さくビクっとし、コクンと頷いた。


「分かった」

「‥‥うん」


なんだろう、若菜の事になると途端に心配性になるのは昔からだ。

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