秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


「あっ、今宵さんと沢山お話できた?」

「‥うん」

話の内容は、
とても若菜には聞かせられない。

俺達の作戦が進んで、今宵さんとの結婚の話は無くなったって言ったら、若菜はどんな顔をするんだろう。
やっぱり悲しむのだろうか。

そうなったとしても、俺は若菜に想いを伝えようなんて考えてない。

だったらこんな事して意味があるのか?


─‥いや、あるか。

今宵さんは好きな人がいるといっていた。
今宵さんの恋路は邪魔できない。

お互いに想いは他に向いているのに、
結婚しても今宵さんを幸せになんてできるはずがないんだ。

もう俺の中途半端な態度のせいで誰かを泣かせたくない。

そう決めた筈だった。

‥‥最初から断っておけば良かったんだ。

縁談を、
ヤケになって受けるだなんて最低だ。

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