秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「なんかすっげーお洒落してたけどもしかして‥‥」
「あぁ、なんか今日は先輩と初デートだっていってたな」
「マジかー!」
若菜は最近2年の先輩と付き合いだした。
佐伯先輩とかいう人だったような。
先輩の孟アタックに若菜が落ちた。
帰り道を歩く二人をこの間チラっと見たけど、遠目からでもかっこいい人だった。
「柊、お前いいのか?」
「何が」
悠登が聞いているのはどういう事か本当はわかっていたが、とぼけるようにして聞き返すと、小さくため息をつかれた。
「若菜ちゃんの事だよ。俺はてっきりお前は若菜ちゃんに惚れてんのかと思ってた」
「‥それはないな」
確かに、若菜から佐伯先輩との交際報告を受けた時には何かくるものがあった。
長年ずっと一緒にいて、人より少し要領が悪くて放っておけない若菜の面倒をずっと見てきた。
正直、妹のような存在だ。
それをとられたような気がした。
ただそれだけだ。