秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。


「マジ?俺の勘違い?」

「そうだよ」


「えー、俺は今でも怪しいと思ってるぞ。 ‥‥それにしてもまぁ今日が初デートかぁ。そもそも俺はけっこう反対だぞ。
今頃若菜ちゃん、佐伯先輩に食われちゃってるんだろうなぁ」

ケーキに手を伸ばしながら、悠登が複雑そうな表情でそう呟く。



「は?」

食われる?若菜が?


「えっ、お前まさか知らねぇの?
佐伯先輩、イケメンだけど手を出すのだけはすげー早くて、しかもそれがおっかないって有名じゃん」

「‥‥‥なんだよそれ」

理解出来なかった悠登の言葉の意味がわかって、一瞬耳を疑った。

味わった事のない激しい感情に急に襲われて、目の裏がカァっと熱くなる。



「まさか知らなかったのか?
いやぁ、おかしいと思ってたんだよな、若菜ちゃんの事になると過保護なお前が、何も言わねぇから‥」


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