秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。



「柊ちゃん?」



背後からかかった声に、振り向くより先に目を丸くした。


「若菜‥‥?」


駄目元で悠登が若菜とすれ違ったという香月橋に来た。
‥‥まさか本当に現れるなんて。


「え、すっごい息切れてるけど、もしかしてランニングしてきたの?」

そう言って若菜がトンチンカンな事を言ってクスクス笑いながら、橋の向こうから渡って近づいてくる。

そして俺の目の前まで来ると、その笑顔が消える。
そして、泣くのを我慢するかのようにその顔が歪んだ。


「柊ちゃん‥‥」


若菜から力なく寄りかかられ、
そのままぎゅっと抱きつかれた。

体が小刻みに震えているのが直に伝わる。
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