秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
そう言う声は涙で震えていた。
「家まで送る」
「えっ‥‥」
一瞬、若菜が躊躇うような顔を見せた。
泣いた顔を家族に見られなくないのだろう。
若菜が、少しでも泣くと目が真っ赤になってしまうのは昔から変わらない。
「落ち着くまで俺の家いる?」
そう尋ねると、若菜は返事をする代わりに
遠慮がちに頷いた。
◇
家に帰ると、まだいると思っていた悠登はもう帰っていた。
‥当たり前だよな、遊びにきてくれた悠登放って飛び出したんだからな。
俺の横で、
俯いて唇を噛み、小さくなる若菜。
間に合わなかったけど、こんな状態の若菜を一人にする事が無くてよかった。
悠登には感謝してもしきれない。
とりあえず先に若菜を部屋に入れて、
俺は冷やしたタオルを持って後から部屋に入った。
部屋に入ると、若菜はどこか虚ろな目をしてちょこんと座っていた。
一瞬声をかけるのを躊躇うようなその雰囲気が胸を刺す。