秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
あなたの隣は。
柊ちゃんのお見合いも終わった月曜日。
もうちょっと何か変化があってもよさそうなのに、柊ちゃんはいたって通常通りだ。
「九条、頼んでた役者のリストってもう用意できてるか?」
「はい。すぐにお持ちします」
そう言って、頼まれて作成していたリストを鞄から取り出して差し出す。
役者のリスト。
今度の舞台の出演者候補一覧だ。
まだ芽は出ていないが実力のある役者の卵達にスポットを当てるのが目的の舞台。
ただそれだけじゃ宣伝効果も弱いし客足も予測できないので、もちろん知名度のある俳優や女優も起用する。
「主役を迷ってるんだよなぁ、この二人で」
そう言って柊ちゃんがリストを持ちながらうーんと唸る。
「九条はどう思う?」
「えっ、私ですか?」
いきなりそう尋ねられきょとんとする私に、柊ちゃんが二人の俳優の名前を挙げる。
リストをつくる時に、ある程度の情報は頭に入った。
どちらも実力があって、今やっている同じ舞台で好評価を得ている若手の役者だ。
確かに、迷い所かも‥。