秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「柊ちゃん今すぐ着替えて速く」
「あ‥‥はい」
柊ちゃんがコクンと頷き、やっと眠気から覚めてきたのか、最初はスローだった着替えるペースが急に速くなった。
それを確認してから私も大急ぎでスーツに着替え、軽く歯みがきをして、こんなに手を抜いた事ないって位の化粧をし、いつもは結っている髪も今日は下ろす事にして櫛で整えた。
脱水所からひょこっと顔を出して部屋を伺うと、柊ちゃんもちゃんと着替え終わっていて、ほっと胸を撫で下ろす。
社長モードの柊ちゃんだ。
ただ、寝癖が小さく立ってしまっている。
「若菜、準備出来た、早く出よう」
「ちょ、ちょっとだけまって柊ちゃん」
そう言ってワックスを持って急いで駆け寄り、寝癖直しと簡単に髪の毛をセットする。
面会相手の社長の頭に寝癖がついているなんて言語道断。